こんにちわ、ボンです。
家にある本を読み直したり、積読を読んだりしています。
『ボクたちはみんな大人になれなかった。』
著 燃え殻
帯文。
"ボクたちは一緒に生きていくはずだった"
小沢一敬(スピードワゴン)
SNSで過去と現在がつながるラブストーリー。とあります。
単行本の帯がすごいです。知らない人もいるけど。
糸井重里、大根仁、小沢一敬、堀江貴文、会田誠、樋口毅宏、二村ヒトシ、古賀史健、吉岡里帆。
この小説を完全に予備知識ゼロで読めて良かったです。
著者名とタイトルと帯で気になって、著者についての"「140文字の文学者」とも呼ばれている。"というのが気になって買って積んでました。
読み始めるとすぐでした。
著者の名前がいいですね。
twitterで抒情的なこと呟き、フォロワーを得ていたそうです。
Amazonの商品説明にある、メディア掲載レビューほかにある二村ヒトシの評が面白いです。
売れてるのは「エモい」からだそうです。
「エモい」についても説明されているので、まとめて引いてみます。
エモいとは「エモーショナル(情緒的、叙情的、感情的)である」を縮めた言葉です。だったら略さずそう書け よと思うかもしれないけれど「エロい」と「エロチックである」が違うように「エモい」と「エモーショナル
である」もけっこう違う。エロいもエモいも、対象を褒めたり論じたりするための形容詞ではなく、そう感じ た人の心の中で起きていることなのです。
インターネットによくある言葉は自分の感情を垂れ流しているだけ。
書き手の自己愛や立場で書かれているものがあり、読む人も自分の立ち位置を確認しているだけの本が、とり あえずの売り上げが見込めるから多く出版されます。予定調和の一方的エモーションは、ひとつもエモくなく
て、もうエモくない文章に私は飽きました。
ところが本書の著者・燃え殻さんもネットから現れた人なのに、そのツイートは(内容は勤め人としての日々のボヤキなのに)胸に迫るメロディや詩のように、読む人が忘れていたその人の感情の記憶をかきむしったのでし
た。彼のサービス精神はエモかったのです。
この本はエモい文章で書かれています。
読み始めは、突っ込みたくなります。
まさにスピードワゴン小沢さんみたいに感じる時があるので。
僕より上の世代の話ですが、過去の話が懐かしい。
出てくる単語がいちいち懐かしい。
小沢健二とか、ノストラダムスとか。。。
ある程度、年いってる人が読むほうがいろいろ感じるのではないでしょうか。
「○○だったこと」がある人は読んでみるといいですよ。
この小説の機能?として、過去に自分が感じたこと、終わっちゃったこと、しまっちゃった引き出しをこじ開けてきます。
1人で青春時代の歌謡曲聞いていろいろ思い出しちゃう感じが味わえます。
cakesで連載されていたころから話題だったようです。
面白いってみんなで読んで、盛り上がって出版に至る。今っぽい形ですね。
○○賞とかであれば、これはこの小説でなくSNSが面白いんだって、授章逃して出版されないとかありそうです。
実際、過去にmixiが流行っていた頃に題材にして書いた小説が、mixiが面白いのであってこの話が面白いんじ ゃないって受賞しなかったこともあったようだし。かなり昔に高橋源一郎がコラムに書いてました。
今更ながら、会わなくなった人もSNSで追い続ける事できますよね。
動向がわかるというか。5年後も、10年後も。
ライバルとはずっと比較できる状況、元カレ、元カノのその後もずっと見れる、
何年も何十年後も。
あらためて、すごいな。この世界。きてるな未来。
だから、著名な人や、社会的に成功している人のインタビューを読むと、どんどんあたらしい人に会ったり、興味のあることは始めるように薦めるのですね。
コミュニティ変わらないとネットワーク変わらないから、今嫌な人がずっと目に入り続ける事になる。現状にストレスあるなら動く、ってのは有効なんですね。
過去がやってくる話って他にもありますね。夏目漱石の「門」とか。
ただ、過去ってのが昔と変わってきています。
デジタルタトゥーとか言われるように、過去が残りすぎてるんですよね。
時間に過去が流されていって、おぼろげ思い出す。
だったのに、時間に流された過去が堆積して、アーカイブされる。しかも自分の手によらずとも。
だれでも。著名人でなくても。
おもしろいなぁ。おそろしいなぁ。
今は、会ってない人、自分にとって過去にした人とも、SNSで簡単につながるんですよね。
この本読んだあと、本関係なく、インスタず~っとやってなかったので、なんとなくはじめてアカウント作り ました。
その時に、登録されている電話番号から自動で古い知人たちの「今」が大量に表示されました。
自分の中で「過去」にしていたことが、突然、今に接続される衝撃。
なんか、衝撃。としかいいようがない。
これ暴力みたいじゃない?とも思いました。
こっちに心の準備が無さ過ぎて。
それにあらためて、スマホって感情に対してダイレクトですね。
自分でも思ってる以上に、自分のパーソナルな部分に近づけて使っているのだなと認識しました。
いやぁ、びっくりした。
主人公の気持ちがちょっとわかった。
今更ながらSNSでのつながりについて考えてしまいました。
そういや職場でも、フェイスブック初めて登録したとき、小、中、高、大学とそれぞれにつなげられて血の気が引いたって同僚が言ってましたね。
なに書いてたんでしょうね。
別のタイミングで読んだ「読みたいことを、書けばいい。」著田中泰延 にこの本について面白い事が書いてありました。
この本も面白い。
あまりにも熱を帯びた手紙というのは、読むのが怖くてしばらく放置してしまう。小説家の「燃え殻」さんと いう人がある日、深夜に突然『ボクたちはみんな大人になれなかった』という処女作の第一稿全文を送ってき
て、「こんなの書いてしまったんですけど、自分ではわけがわかりません。田中さん読んでダメならダメって言ってくれませんか」と書いてきたときの恐怖を思い出した
この時の話は 書くについての公開雑談。 イトイ新聞で読めます。
https://www.1101.com/koneta_talk/index.html
結局読んだ、田中泰延の返事は
「僕が知ってる範囲で、やっぱり見たことない小説です」
じゃまた。
以下、作品内に登場したモノたちです。
______________________
P7 『Automatic』宇多田ヒカル
P21『暗闇から手を伸ばせ』小沢健二
P26『童夢』
P26『うる星やつら2ビューティフルドリーマー』
P49『スタンド・バイ・ミー』ジョン・レノン
Stand By Me - John Lennon (official music video HD)
P66『ガッツだぜ!!』ウルフルズ
ULFULS-GutsDaze (Samurai King TONOSAMA!)
P86『中央フリーウェイ』
P133『つぐない』テレサ・テン
P151『恋するフォーチュンクッキー』AKB48
【MV full】 恋するフォーチュンクッキー / AKB48[公式]