「革靴って、試着したときはちょうどよく感じたのに、履いて出かけたら足が痛くなった…」
そんな経験、ありませんか?
スニーカーならほぼ同じサイズで選べるのに、革靴だけは「サイズが合わない」と感じる人が多い。
実はこれ、革靴ならではの“仕組み”や“文化”が影響しているんです。
1. スニーカーと革靴では「設計思想」が違う
まず大前提として、スニーカーと革靴はサイズの基準そのものが違います。
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スニーカー:クッション性・ゆとり重視。万人向けでサイズはやや大きめ。
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革靴:足をホールドするフィット重視。ジャストサイズが正解。
日本整形靴技術協会の資料によると、スニーカーと革靴のサイズに約0.5~1.0cmの差が出ることもあるそうです(※1)。
「いつも26.5cmだから」と同じサイズを選ぶと、革靴だとブカブカになってしまうんですね。
2. 革靴は「足長」よりも「足囲(ウィズ)」が超重要
サイズを選ぶとき、私たちは「足の長さ」=〇〇cmばかり気にしがちですが、
革靴で本当に大切なのは “足囲(ウィズ)”=足の幅と厚みです。
日本工業規格(JIS)では、革靴のウィズは以下のように分類されています:
ウィズ | 説明 |
---|---|
E | 細め |
2E | 標準 |
3E | 幅広 |
4E以上 | かなり幅広 |
例えば、足の長さは26cmでも、ウィズが「E」の人と「3E」の人では、同じサイズでも全然フィット感が違うんです。
3. 革が「伸びる」から、買った直後がベストじゃない
革靴の特徴は、なんといっても「革が伸びて足に馴染む」こと。
つまり、「ちょっときついかな…」と思うくらいが、実はちょうどいいんです。
逆に履き始めにピッタリだと、数回の使用でゆるくなってしまいます。
プロのシューフィッターも「履き始めに少しタイトな革靴を選ぶのが基本」と言っています(※2)。
4. サイズ表記が「ブランド・国」によってバラバラ
アメリカ、イギリス、フランス、日本…。
革靴は世界中で作られていて、サイズ表記の基準もバラバラです。
国 | サイズ表記の一例 |
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日本 | cm(センチ) |
イギリス | UKサイズ |
アメリカ | USサイズ |
ヨーロッパ | EUサイズ(41, 42など) |
例えば、日本の26.0cmは、UKだと7.5~8.0、USだと8.5~9.0が目安ですが、ブランドごとに木型が違うため、
同じサイズでも履き心地が大きく変わることもザラにあります。
結論:「試着+ウィズ確認+革の特性を知る」が鉄則
革靴のサイズ選びは、スニーカーと比べてややハードルが高いのは事実です。
でも、それには理由があるし、正しい知識を持てば失敗は減らせます。
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いつものサイズ感に惑わされない
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足長だけでなく「足囲(ウィズ)」も測る
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「少しキツめ」がベストフィットへの第一歩
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ブランドのサイズ感を調べておく
こうしたステップを踏めば、一生モノの相棒になる革靴に出会えるはずです。
参考文献:
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※1 日本整形靴技術協会「足と靴の正しい関係」資料より
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※2 読売新聞『革靴の“正しい履き始め”はきつめ?ゆるめ?』インタビュー(2023)